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森琴石編輯兼出版の『南画独学揮毫自在 ◆』 が、北京の「故宮博物館」の「清宮廷旧蔵品」として所蔵され、同院のホームページ、「故宮博物院 ネット博物苑」で公開されている 注1。
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「故宮博物院」は、北京の中心部に位置し、明・清両王朝の宮殿建築と宮廷収蔵を基礎として設立した総合的な国立博物館である。1987年にはユネスコ世界遺産に認定された施設でもある。
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「故宮博物院」では中日国交正常化30周年にあたり、両国の文化交流をさらに深めるため、故宮が収蔵する日本文物の一部、約179件が展示されている。書籍、絵画(書跡を含む)、磁器、琺瑯、金属器、漆器、染織、彫刻、家具などの文物からなっている。
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『南画独学揮毫自在』は、書籍の部門にあり、紹介された8種類の書籍には、大隈重信著「開国50年史」が含まれている 注2。
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森琴石は、南画の発祥地である中国に対して憧れと尊敬の念が深く、日本を訪れた清国文人たちを手厚くもてなした。大隈重信は留学生の受け入れや華僑同文学校創建に尽力するなど、日中交流に多大に貢献した。森琴石の周辺からは、佐賀出身の政治家「副島種臣」の名がしばしば出る 注3。
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「南画独学揮毫自在 4冊」は、明治13年に刊行された、南画を独習する為の袖珍版の入門書である。全冊森琴石の銅刻によるもので、南画の描法が示され、その後には画法を駆使した見本画が添えられている。第2巻の山水図では、森琴石が画風を最も好んだという「沈石田」や、「薫源」・「黄公望」・「巨然」などの中国の著名家の作が80余り列挙描かれている。それらの画は、森琴石が実作品を手元に置き、写したものと思われる。「伊孚九」や「陳子和」など、森琴石が精写した臨模帖が残されている 注4。
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各巻の題字や序文など揮毫者は、「題画詩集」や「墨香画譜」への揮毫者と共に、森琴石の尊敬する交流(日本や清国)文人たちである。
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「南画独学揮毫自在」の下絵が一部現存している。
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