森琴石(もりきんせき)1843~1921
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森琴石 調査情報

平成10年10月~現在まで、森家での調査などをご紹介します

■調査情報 平成18年(2月)

【1】

明治13年刊、森琴石著・銅版による「南画独学 揮毫自在 注1」が、アメリカ合衆国のオハイオ州にある「Oberlin Collection  オベリン大学 注2」の図書館、「Mary Ainsworth  Collection of Japanese Artist Books 」に所蔵されている 注3

南画の入門書である同著書は、「墨香画譜」・「題画詩集」と共に、森琴石の代表著書として、森琴石を紹介する文献には必ず記載があるものの一つである。

「南画独学 揮毫自在」はじめ上記三著書は、清時代の中国でも発売され、岸田吟香の「楽善堂書目 注4」の書目リストにも存在する。同リストには上記以外の響泉堂刻による「書誌」が存在する。

これまでの調査で、森琴石と岸田吟香との繋がりが判明している。岸田吟香は、江戸末期に大坂の儒学者「藤澤東畡」の門生として学んだ時期があり 注5、森琴石の日誌には「楽善堂」の記述が見られる。

神戸市立博物館の「南蛮美術コレクション」は、池長孟氏 注6 が収集した美術品を「南蛮美術館」に寄贈した収蔵品で、「旧池長コレクション」と名づけられている。収蔵品のリストや作品の解説をまとめた、池長孟編「南蛮美術総目録 注7」によれば、岸田吟香出版の「吟香閣叢画」の作者は、「作者不詳(森琴石?)」と書かれ、「森琴石」と「岸田吟香」との関連をほのめかす記述がされている。

「東京日々新聞」で、「岸田吟香」と同僚の「福地桜痴(源一郎)」は、森家祖母の実家、佐賀藩入江家とも繋がる「馬渡俊猷」の師匠でもある。森琴石周辺には、日本の新聞創生期に携った人物の存在がある 注8

「楽善堂書目」及び「岸田吟香」との関係についてなど、今後研究者により「森琴石画集」、その他で触れられる予定です。

森琴石編著、木版画集「墨香画譜」は、平成12年、中国斉南市「山東美術出版社」より、「中国古画譜集成・第22巻」で、廉泉纂「扇面 大観」・張兆祥画「文美斎詩箋譜(百花詩箋譜)」と共に合本で、復刻出版されている。同書は「北京図書館」にも収蔵されている。 注9

 
 
注1
 

「南画独学 揮毫自在」
平成15年8月■2番目」に記述があります。
また、今後当HP「資料紹介:書誌」などで、「墨香画譜」・「題画詩集」などと共に順次ご紹介します。

 
注2
 

オベリン大学

オハイオ州のOberlinという小さい町に存在する、創立1833年という歴史のある大学で、芸術や文科系の学問を中心に教えている大学。特に音楽に力を入れており、小さい大学ではあるが、立派な図書館や美術館があり、多くの美術品が納められている。Oberlinは発音はオウバリンとなり、東京都の「桜美林大学」の名前の由来となった。

 
注3
 

Mary Ainswort  & Mary Ainsworth Collection

「Mary  Ainsworth」は、「Oberlin College」の卒業生で、1910年に初めて日本を訪れ、日本の美術に興味を持ち、25年間にわたって日本の美術品を収集した。1950年になって、それらを大学に寄付したので、彼女の名前を冠したコレクションになっている。

▲「Libraries & Collections」の中、「Japanese Artist Books」には、第4番目に森琴石の「南画独学揮毫自在」がある。

▲下記リンクをご参照ください
*オベリン大学スペシャルコレクション=http://www.oberlin.edu/library/special/
*Book Arts=http://www.oberlin.edu/library/special/bookarts/
*Mary Ainsworth Collection of Japanese Artist Books =アドレスは下記
http://www.oberlin.edu/library/special/bookarts/ainsworth.inventory.html
*Mary Ainsworth Collection of Japanese Artist Books=アドレスは下記
http://www.oberlin.edu/library/special/bookarts/ainsworth.html

 
注4
 

「楽善堂書目」
明治17年10月、岸田吟香が上海で販売した出版書誌類のリスト

●資料ご提供者=陳 捷 ちん しょう氏(国文学研究資料館 助教授)
 
注5
 

雅友・知友 「岸田吟香」をご覧ください。

 
注6
 

池長孟(いけなが はじめ)、南蛮美術館=「平成17年7月■3番目 注6」や、下記アドレスからご覧ください。
http://www.city.kobe.jp/cityoffice/06/014/tenji/ikenagahazime.html

 
注7
 

「南蛮美術館総目録」
池長孟編・株式会社東洋書院発行・1995年

 
注8
 

平成16年3月2番目」の「西尾吉太郎」・「平成17年1月1番目」の「福田宇(天外)」・関連人「福田天外」をご覧ください。

 
注9
 

平成16年1月2番目」をご覧ください。

 
【2】

【1】で記述の池長猛著「南蛮美術館目録」で、池長猛氏は、明治13年、京都若林喜助出版による「詩画舫」でも、「作者不詳(森琴石?)」と記述している。

森琴石は江戸後期から明治の木版画師で、また明治期には銅版画師として活躍した「若林長栄」とは非常に親しかった。森家の周辺には江戸期に書籍に関わった人物がいたようだ。後月、これまでの調査資料より少しご紹介する。

   


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