森琴石(もりきんせき)1843~1921

森琴石 調査情報

平成10年10月~現在まで、森家での調査などをご紹介します

■調査情報 平成18年(12月)

【1】

森琴石編輯兼出版の『南画独学揮毫自在 』 が、北京の「故宮博物館」の「清宮廷旧蔵品」として所蔵され、同院のホームページ、「故宮博物院 ネット博物苑」で公開されている 注1

「故宮博物院」は、北京の中心部に位置し、明・清両王朝の宮殿建築と宮廷収蔵を基礎として設立した総合的な国立博物館である。1987年にはユネスコ世界遺産に認定された施設でもある。

「故宮博物院」では中日国交正常化30周年にあたり、両国の文化交流をさらに深めるため、故宮が収蔵する日本文物の一部、約179件が展示されている。書籍、絵画(書跡を含む)、磁器、琺瑯、金属器、漆器、染織、彫刻、家具などの文物からなっている。

『南画独学揮毫自在』は、書籍の部門にあり、紹介された8種類の書籍には、大隈重信著「開国50年史」が含まれている 注2

森琴石は、南画の発祥地である中国に対して憧れと尊敬の念が深く、日本を訪れた清国文人たちを手厚くもてなした。大隈重信は留学生の受け入れや華僑同文学校創建に尽力するなど、日中交流に多大に貢献した。森琴石の周辺からは、佐賀出身の政治家「副島種臣」の名がしばしば出る 注3

「南画独学揮毫自在 4冊」は、明治13年に刊行された、南画を独習する為の袖珍版の入門書である。全冊森琴石の銅刻によるもので、南画の描法が示され、その後には画法を駆使した見本画が添えられている。第2巻の山水図では、森琴石が画風を最も好んだという「沈石田」や、「薫源」・「黄公望」・「巨然」などの中国の著名家の作が80余り列挙描かれている。それらの画は、森琴石が実作品を手元に置き、写したものと思われる。「伊孚九」や「陳子和」など、森琴石が精写した臨模帖が残されている 注4

各巻の題字や序文など揮毫者は、「題画詩集」や「墨香画譜」への揮毫者と共に、森琴石の尊敬する交流(日本や清国)文人たちである。

「南画独学揮毫自在」の下絵が一部現存している。

 
 
注1、注2
 
●故宮ウェブサイト「故宮博物院 ネット博物苑」

故宮所蔵の日本物流展:書籍の部
「南画独学揮毫自在」
「1880年3月24日/日本大阪、森琴石文堂、銅版印刷、小型の本/清宮廷旧蔵」

●故宮博物院所蔵「南画独学揮毫時自在」・「開国50年史」などへのアクセス

故宮ウェブサイトより
故宮博物院トップ頁=http://www.dpm.org.cn/→日本語 からお入りください。
又は
故宮博物院→ネット博物苑→故宮所蔵の日本文物展書籍 をクリック下さい。
(上段右から2つ目が 森琴石著「南画独学揮毫自在」、下段左から2つ目が 大隈重信著「開国50年史」)

★「故宮博物院 ネット博物苑」 ―書籍:解説文―
書籍の交流は中日文化交流の中で重要な役割を演じた。歴史上に両国の使節、文人、僧侶、商人が長く付き合って、両国間の書籍交流を推し進めた。故宮の蔵書には日本版の漢文書籍、和文書籍及び清の皇帝がご覧になった日本版書籍がたくさんあり、その内容は哲学、政治、医学、絵画、建築、風土、人情など各方面に及んでいる。中には木版本、銅版本、銅活字版本、写本、カラ―木版本、鉛活字版本などがあり、出来上がる時期は清の初期、中期あるいは晩期である。書籍の装丁や印刷も非常に精巧で美しい。
 
注3
 
当HPでの「大隈重信」・「副島種臣」などの記述箇所
大隈重信=「平成13年1月」・「平成17年7月注9、神戸華橋同文学校」・「平成18年3月【2】注5
★森家祖母「梅子」の父「入江俊次郎」は、大隈重信の執務をしていた

副島種臣=「平成16年7月■2番目」・「平成17年11月【2】■3番目
 
南画独学揮毫自在
 
 

南画独学揮毫自在

明治13年3月24日 版権免許
編輯兼出版人=森琴石 東区南本町四丁目三十七番地
出版人=吉岡平助・北村宋助・中島徳兵衛・吉住音吉

題字・書・序文などの揮毫者(掲載順・詳細省略)

(一)
扉題=葉松石/陳曼寿/王冶梅/琴渓子(呉瀚濤)/山中信天翁/小原竹香/廬子銘/谷銕臣/河野春(馬+風)/日柳三舟/藤澤南岳/松本如石/樹木、岩、山、人物、家屋、塔、建物、門・垣根、水車、橋、柵、船、文具、文物などの描法

日柳三舟(コピー使用) 人物描法(コピー使用)

(二)
宮原易安/江馬天江/行徳玉江/安田敬斎/坂本葵園(河野葵園)/清国諸名家山水図

左:巨然 左:坂本葵園 右:安田敬斎

(三)
衛鋳生/草場船山/市村水香/石橋雲来/大阪高麗橋栴檀木 響泉堂刻/四君子(蘭,竹,梅,菊)雲根(奇石)の描法

竹の節、枝などの描法下絵 描法を使った手本画
↑左端中ほど-補修箇所  

(四)
雨森精斎/林双橋/花弁、葉、枝、鳥、花頭、岐枝、根、草虫類、動物(猫龍寅象牛馬犬鹿駱駝など)/森琴石後跋文/奥附・発兌書肆・売捌書肆

奥附
編纂兼出版:森琴石(東區南本町四丁目三十八番地
出版人:吉岡平助、北村宋助、中島徳兵衛、吉住音吉

左:森琴石後跋文(虫食い欠損あり) 奥附(虫食い欠損あり)

●「南画独学揮毫自在」HP記記述所
平成15年8月■2番目」・「平成18年9月【2】注1-最後の画像」・「平成18年2月【1】
●「南画独学揮毫自在 4冊」題字・書・序文 揮毫者
★葉松石=未記述・森琴石友人「石橋雲来編:<雲来吟交詩 第一集>に、詩一首」
★陳曼寿・呉瀚濤・山中信天王・廬子銘・河野春(馬+風)=河野通胤・日柳三舟・藤澤南岳・江馬天江=「平成18年11月【1】注5末尾」の、「題画詩集」揮毫者記述箇所にもあります。
★小原竹香=「平成15年8月■2番目 注1」・「平成15年11月 注7」・「平成16年1月■2番目
★谷鉄心=「平成17年4月■7番目 注7:騎鶴楼来訪者と森琴石」・関連資料「千瓢賞餘」、滋賀県:吉田方水」
★松本如石=大分県宇佐の人・藤澤南岳の弟子=未記述
★宮原易安=「平成15年12月」・「平成16年11月■2番目注6
★行徳玉江=「平成18年11月【1】■6番目」・師匠 先輩「行徳玉江」など
★安田敬斎=家族係累:「梶木源治郎顕彰石碑 ●田中芳男
論文:「平成17年2月 齋藤希史著「漢文脈の近代」 清末=明治の文学圏 の中、第10章『記事論説文例』の著者」
★坂本葵園=「平成16年1月■2番目●1,2番目」・「平成16年6月■1番目注2●2番目
淡路島中貞吉の四男で河野家の養子となる。名は亮、別号白蓮居士。藤澤東畡の愛弟子。村上佛山、岡田鴨里にも師事。後一族の坂本家を継ぐ。伏見町に私塾「白蓮池館」を起こした。伏見町は当時の森琴石自宅の近所。
★衛鋳生=資料「清国人の書簡:衛鋳生」・「平成16年10月■1番目
★草場船山=「平成15年8月■2番目」・「平成17年2月■3番目注3◆3番目」・「平成17年4月■7番目 注7:騎鶴楼来訪者と森琴石」
名立太郎、草場佩山の子。佐賀藩士。篠崎小竹、古賀とう庵(精里)の弟子。明治20年69歳歿。
★市村水香=高槻の人・藤澤東畡、藤井竹外の弟子・明治32年58歳歿。
★雨森精斎=「平成15年8月■2番目
名は謙、出雲生。松江藩儒者妹尾清左衛門の子。大坂に出て篠崎小竹、藤澤東畡に学ぶ。更に江戸の昌平黌に入り、安積艮斎に師事、帰藩して雨森姓を藩主より受け儒学教授を勤める。明治維新前後は藩政改革に尽くし、新政府教部省にも出仕した。M15年61歳歿。
★林双橋(林雙橋)=「平成15年8月■2番目
文政11年淡路国津名郡塩屋生・名は英、字は俊中・京都の儒者・明治29年69歳歿。
★石橋雲来=作品:「文人画<月ヶ瀬真景>」・資料:「森琴石弾琴図」・「平成13年1月」・「平成15年7月■3番目、大村楊城」・「平成17年3月■2番目■4番目」・「平成17年4月■2番目」・「平成17年6月■4番目」・「平成17年10月」・「平成17年11月【2】」・「平成17年12月■2番目注5」・「平成18年3月【2】注6」・「平成18年5月【4】」・「平成18年6月【1】■4番目」・関連資料:「尼の毛受さん」・雅友知友:「木村發」・門人:「岡山 藤井琴谷」、「摂津 永田琴僊」、「河内 毛受楽斉」などに記述があります。
 
注4
 

森琴石 「臨模帖」 より

 ―陳子和―

庚寅春三月陳子和書併画

庚寅春三月陳子和書併画    印:栞石臨募

★伊孚九(い ふきゅう)=清の商人、画家。貿易商として1720年長崎に来航、馬匹を輸送。南宋画を伝え池大雅・桑山玉洲らがその画法を学ぶなど、江戸時代の南画の発達に影響を及ぼした。

★陳子和(ちん しわ)=明代の名工。福建人。初め塑工、後に画に改める。酒を好み、山水人物、花草禽毛を善くする


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