森琴石(もりきんせき)1843〜1921

森琴石 調査情報

平成10年10月〜現在まで、森家での調査などをご紹介します

■調査情報 平成20年(6月)

 

今月の話題

【1】地図紹介 −森琴石 銅刻− 
「高知県管内阿波国改正図/武市秋香」
著者:武市秋香/銅刻:森琴石/出版人:生島恒次郎/明治10年
カリフォルニア大学バークレー校「東アジア図書館」所蔵
【2】寄贈書誌 
「大阪伝承地誌集成」
著者:三善貞司著/出版者:前田博雄/出版社:清文堂出版株式会社/発行年:平成20年5月30日/全1442頁
【1】

明治8年から23年頃まで、森琴石は<森琴石編著>や<森琴石改図>、銅板工房名<響泉堂刻>、或いは<森琴石刻>と銘打ち、多数の銅板地図の製作に携わってきた。森家では、それら過半数の地図を確認している。それらの地図は、全国の公共図書館や大学図書館、博物館などでも所蔵されており、WEB画面で公開されているものもある 注1

カリフォルニア大学の付属図書館には、森琴石の地図が合計6点所蔵されている。「平成18年6月【2】」では、バークレー校に「大日本海陸全図」、「平成19年3月【1】」では、ロスアンゼルス校に「九州一覧之図」が所蔵されている事をご紹介しましたが、バークレー校には、他に「阿波国全図」・「地球全図」・「高知県管内阿波国 改正図」・「掌中日本全図」など、4点の地図が所蔵されている。バークレー校、東アジア図書館のホームページからは、3点の地図の画像を閲覧する事が出来る 注2

6点の内、森家でまだ確認出来ていない地図がある。それは、明治10年に森琴石が銅刻した「高知県管内阿波国改正図/武市秋香 注3」という地図である。原図は「武市秋香」、出版者は<阿波国板野郡高島村>の「生島恒次郎」。板野郡高島村は、現在の徳島県鳴門市に当たり、地図の名に「高知県管内」とあるのは、明治10年の頃の阿波国(徳島県)は、高知県所管に移されていた時期であった為である。

●原図者「武市秋香」に関する情報は皆無であるが、武市という姓が高知県に多い事から、土佐や阿波近辺の<絵師>によるものと思われる。土佐には著名な勤皇家「武市半平太」は、「武市瑞山」という名で、画や地図を描いていた事で知られる。森琴石の周辺には、土佐自由民権運動に尽力し、「武市半平太伝」を著した「古澤滋 注4」などの存在がある。 

●出版人の「生島恒次郎」についての確実な情報は無いが、明治8,9年頃の<控え帖>には、住所が同じで、2文字違いの人物の記録が残る 注5

●江戸末期から明治にかけて、板野郡高島村には、生島姓の人名に ”塩田主”がおり、”生島竹洲”という儒者がいたという 注6。鳴門では<撫養 むや>出身の儒者<生島文太>という人物がいた。 江戸末期の森家が家業が<廻船>関係だったようで 注7、生島氏は”製塩業主”だった可能性もある。

●土佐(安芸郡井ノ口村)には、三菱の創始者<岩崎弥太郎>の親戚筋にあたる<岩崎弥助>が「秋香村舎」という私塾を開いていた。「秋香村舎」には、土佐の勤皇党に加盟した人物がいた 注8

先月度でご紹介した、大阪の歌舞伎役者”四世 嵐璃寛”の実父である”三世 嵐璃寛”の父は、”生島岩五郎”という旅役者だった。”三世 嵐璃寛”は、最初2代目尾上多見蔵の門人となり歌舞伎を学んだ。

●大阪生まれの「藤原信一」は、「尾上多見蔵」の弟子となり、巡業先の土佐で出会った<絵師>に弟子入りしたという異色の経歴を持つ。土佐自由民権運動での「坂本竜馬の役者絵」の”浮世絵 (錦絵)”を描いた 注9

●阿波は”人形浄瑠璃の国”といわれ、江戸時代に徳島藩領だった淡路島の人形座の人々が全国を巡業して回り、人形の<首 かしら>は、阿波の細工師が作っていた。 鳴門も人形浄瑠璃が大変盛んだったようで、鳴門は、人形浄瑠璃の人気演目「傾城阿波の鳴門 (けいせいあわのなると)」の、ゆかりの地でもある。


森琴石の門下には、高知県出身者は唐人町に住んでいた「竹内琴峰」がいるが、住所以外の情報は皆無である。

上記に書いた”氏名”や”地名”と、「高知県管内阿波国改正図」との相互関係は、現在立証出来ないが、それらのいずれかが、何らかの縁があるようにも思える。

響泉堂刻「森琴石改正 大阪区分細見図 」の原図者は「蔀屋仙蔵 」であるなど、森琴石の地図と絵師との関連が見られる。 当ホームページでも、森琴石の周辺から”江戸期の(浮世)絵師”の存在があり 注10 、森家には「一勇斎國芳」や「一陽斎(歌川)豊國」の<役者絵>や<戯画>などの版画をまとめて一冊本になっているものが残されている。版画の版元は「伊勢屋兼吉」・「恵比寿屋庄七」など。表紙のタイトルは文字が擦り切れて読めない。

 
 
当項目の、カリフォルニア大学バークレー校「東アジア図書館」での、森琴石関係の地図は、森家の問い合わせに対し、2006年12月、カリフォルニア大学バークレー校「東アジア図書館」の”石松久幸氏”より回答を頂きました。
注1
 

森琴石や響泉堂刻の地図 記載箇所

★「リンク情報:地図
★「永田方正訳 暗射地球訳図 全」=「平成17年1月■1番目
★「森琴石改正 大阪区分細見図 」=「作品紹介:銅板画『改正大阪區分細見圖』(部分)」・「平成18年8月【2】
★「大日本海陸全図 附朝鮮琉球」=「平成17年1月■4番目」・「平成18年4月【1】」・「平成18年6月【2】
★「九州一覧之図」=「平成19年3月【1】
★「大日本四国一覧之図 附淡路之国」=「平成17年1月■3番目
★「大日本詳細全図」=「平成16年9月■2番目
★「三府五港細見全図」=「平成16年9月■2番目」・「雅友知友:武藤吉次郎
★「新鐫 大日本国図 附朝鮮」=「平成19年1月【2】
★その他=当HP上方にある”Google 検索機能”にて「地図」で ご検索ください。

 
注2
 

カリフォルニア大学バークレー校
「東アジア図書館 日本の古地図コレクション」で見られる ”森琴石編 & 森琴石刻地図画像”

★「大日本海陸全図(M10)」・「掌中日本全図(M9)」
(Images 1-3 of 3)
http://www.davidrumsey.com/japan/   より
Insight  Browser をクリック  serch ⇒ by keyword を mori kinseki 入力
★「地球全図(M8)」(※藤井新助縮図・森琴石刻)
上記と同様にして by keyword を Fujii, Shinsuke 入力  ⇒右下枠外に<森琴石刻>とあり

※藤井新助記述=「平成18年9月【1】」・「門人−大阪市西区:藤井香舟

その後、先方の事情で変更が生じました。現在は「新鐫 大日本海陸全図 附朝鮮琉球全図 全」 及び「地球全図」が、画像閲覧出来ます。
 
注3
 

「高知県下管内 阿波国改正図 / 武市秋香」 

(地図データ は、2006年8月に取得。タイトルや”武市秋香・生島恒次郎の文字”は、上記◆同様、石松久幸氏よりお知らせ頂きました。)

 

カリフォルニア大学バークレー校「東アジア図書館」 ”森琴石銅刻 地図”

『Kochi-ken kannai Awa no Kuni kaiseizu / Takechi Shuko.』

(「高知県管内 阿波国改正図 / 武市秋香」)

Author(著者)
Takechi, Shuko.(武市秋香)
Title (タイトル)
Kochi-ken kannai Awa no Kuni kaiseizu / Takechi Shuko.
Publisher(出版者)
Kochi kenka Awa no Kuni Takashima-mura : Ikushima Kojiro, Meiji 10 [1877].
Description(概要)
1 map : col. ; 48 x 72 cm., folded in cover 17 x 12 cm.
Note(注)
Copperplate print. In Japanese. (銅板印刷)
Oriented with north to the upper left. Relief shown by hachures.
Includes list of tourist attractions and local products and distance chart.
Inludes legend.
Engraved by Mori Kinseki. (刻者 森琴石)

※この地図は画像は公開されておりません

 
注4
 

「古澤滋」及び土佐自由民権運動=「平成19年6月【1】注4」・「平成19年8月【2】注3

 
注5
 

〜 明治8.9年頃の 森琴石「控え帖」 〜

メモ
左頁:「大日本海陸全図 附朝鮮琉球」 右頁:阿波国板野郡高島村「生島次吉郎」
「平成16年7月 注1メモA」

明治8.9年頃の 森琴石「控え帖」

森琴石著編
新鐫 大日本海陸全図
附朝鮮琉球
壱枚 縦二尺三寸 横四尺八寸
大阪 大阪府平民 岡田茂兵衛
同       小川新助
阿波国第一大区五小区
板野郡高島村
生島次吉郎
 
注6
 

生島氏についての情報=2006年11月、”鳴門市”への森家の問い合わせに対し、文化交流推進課から回答を寄せられたものです。その時<鳴門には地図を描いていた人物の弟子がいたようだ>との情報を寄せて頂きましたが、人物名の教示は無く、その後の調査は進めていません。

 
注7
 

江戸末期の森家について=「平成18年5月【4】注3 森琴石と慶応義塾などについて」・「平成19年7月【1】注4 & 【2】」・「平成19年12月【2】柳 楢悦氏に着目する理由◆2つ目」 など

 
注8
 

WEBサイト
「みねうち道 −土佐勤皇党と土佐の歴史−
http://www10.ocn.ne.jp/ ̄kenjiro/index.html )」による

 
注9
 

WEBサイト「浮世絵芸術155号」

中城 正堯氏:新発見「龍馬役者絵」血染めの下緒が語るもの による

 
注10
 

当ホームページ内記述 ”浮世絵師”

★福山藩絵師「服部雪斎」=「平成19年1月【1】」・「平成20年3月【2】
★大坂の絵師「蔀 関牛」=「平成18年8月【2】
★大阪の絵師「長谷川貞信」=「平成18年8月【3】
★広島藩絵師「岡 岷山・勝田友渓(幽渓)」=「平成20年3月【2】
★「河鍋暁斎(下総古河)」&「小林清親(江戸生まれ、下岡連杖に写真、英人ワーグマンに油絵、河鍋暁斎、柴田是真に日本画、漆絵の手ほどきを受ける)」=「平成20年5月■4番目
★師匠:鼎金城(三)箱書覚え書き”蜀山雪齋”=太田南畝(蜀山人)と増山雪斎の事か?・・・・・鼎金城が2氏の肖像画を描いていたのでは?

 
【2】

三善貞司氏の「大阪人物辞典」は、著者三善貞司氏のご好意により、当ホームページでの<雅友・知友>や、略伝などで、人物伝資料として頻繁に掲載させて頂いています。


このたび、三善貞司氏より、自著「大阪伝承地誌集成」をご送付頂きました。


三善貞司氏は、大阪の史蹟・人物・伝承の収集を半世紀に亘り続けてこられました。  「大阪伝承地誌集成」は、同氏の24冊目の著書となり、原稿枚数1万2千枚にも及ぶ、超力作・大作です。

●同氏の著書「大阪史蹟辞典(原稿枚数 6700枚)」・「大阪人物辞典(同 15000枚)」に加え、「大阪伝承地誌集成」と、三部作が出揃った事は、大阪を知るジャンルの学術専門書誌として、個人が成し遂げた”前代未聞の偉業”です。

●1442頁に及ぶ書物の内容は、大阪市内及び大阪府下全域を、各地域ごとの奇談・寺社縁起・芸能・遺跡遺物・人物など万般にわたる伝承と地誌”3575項目”を収録し、簡潔な文体で編集されており、非常に読みやすいものです。

●今後、大阪を知りたい人、大阪の研究をしたい人にとっては、必要不可欠な書物として・後世に残る「名著」となります。

●森琴石ホームページでは、今後HPの内容と関係するものがありましたら、ご紹介させて頂きたいと思います。

 
 

「大阪地誌伝承集成」には、当HP、〜南画解説〜の、橋爪節也氏が、推薦文を寄せられています。

橋爪節也氏は今年4月、大阪市立近代美術館建設準備室主任学芸員より ”大阪大学総合学術博物館教授・大学院文学研究科兼任” として着任されました。


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