平成10年10月~現在まで、森家での調査などをご紹介します
■ | 現在確認出来ている「響泉堂森琴石」の銅版書誌類の中で、最初に手がけたとされるものは、故郷が愛媛県新居郡宇高町(現新居浜市)の漢学者「永田方正 ながたほうせい注1」の訳による「永田方正訳 暗射地球訳図 全」(大阪書林岡田蔵版・明治8年・神戸市立博物館南披松太郎コレクション)という、青と黄で彩色された銅版地図である。大阪の書肆は永田方正の書誌類を多数出版している注2。また日本人で最初に「新旧約聖書」を翻訳し注3、日本で初めてアイヌ語の文法書「北海小文典注4」を編さんした人物でもある。 注1 永田方正=人物については関連資料「永田方正」をご覧ください。
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■ | 森琴石の画の師匠である淡路国津名郡出身の忍頂寺静村(にんちょうじ せいそん)は阿波国富田浦弓町生まれの貫名菘翁(ぬきな すうおう・別号海屋)に書画を学んだ。「浪華画学校」での教師仲間「守住貫魚 もりずみ つらな」も阿波国富田浦の生れである。森琴石は阿波国、淡路国両地とはゆかりが深かったようだ注1。阿波国富田浦弓町生まれの「福田宇中 ふくだうちゅう 注2」は、響泉堂刻「名家奇文 近古史伝 上下注3」や「古今復讐 日本義列伝 上下注4」を編さんしている。福田宇中は、国会の開設と地方分権を進める事を設立目的とした「普通 社」が創刊した「 普通新聞 注5」の編集長を務めた明治9年頃、政府の新聞取り締まり強化により文筆活動に圧力をかけられていた。明治3年に起こった「稲田騒動」や明治7年より開始された政府の「屯田兵制度」により、淡路国や阿波国からは多数の人々が北海道の開拓移民となった。明治21年5月、新琴似(しんことに)に移住した井後麒三郎注6が出版した「阿淡偉人小伝注7」(非売品・大正10年12月)の著者も務めている。また大阪書肆による出版物も多い注8。明治9年、岡山では「西尾吉太郎」が新聞発行を思い立ち「山陽新報」発刊準備にとりかかっていた注9。
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■ | 響泉堂森琴石の、四国や淡路島の銅版彩色地図には「阿波国全図 全」(松本 弘著・世渡谷文吉出版・響泉堂刻・明治10年・岐阜県立図書館世界分布図センター蔵)や「大日本四国一覧之図 附淡路之図」(森琴石編・大阪中川勘助出版・明治10年10月・神戸市立博物館蔵)などがある。 |
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■ | 北海道大学附属図書館(北方資料データベース・北大北方資料室、北海道関係地図)注1 には響泉堂森琴石による銅版彩色「新鐫大日本海陸全図(附)朝鮮琉球注2」が収蔵されている。
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