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森琴石は南画の故郷である中国や中国絵画を敬愛し、多くの中国文人と交流した事は、既に何回もご紹介していますが、森琴石の中国絵画への研鑽度合いは相当なものであった。その痕跡となる資料が残されていますので、少しずつご紹介したいと思います。
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表紙に「李復堂畵花卉帖十頁 讀畵楼」と書かれた和紙で綴じた花卉帖がある。絵や文字の筆致が奔放な印象を受ける。
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「李復堂(り ふくどう)」が描いた花卉帖を、森琴石が画法の研究の為に模写したものだろうか?森琴石の作品を10年余り見ているが、読画楼の文字は紛れもなく森琴石の筆跡である。以下気付いた事を★に記述しました。
- ★「李復堂」の既刊の画帖と比較すると、絵画のみならず落款の筆跡も良く似ている。しかし押印が無い。
- ★森琴石が「李復堂」の画譜を出版しようとした可能性もある。或いは自著「墨香畵譜」の参考にする為に写したのかも知れない。
- ★森琴石の画号は「讀畫廬(読画廬)」とするのが通常で、「読画楼」は、森琴石や他者が、森琴石の画室或いは居宅で詩書画を揮毫したり滞在した証として使われている。
- ★森琴石は他者の作品を写し取った(模写)場合は<琴石摸>や<琴石臨摸>、或いは例えば<野呂介石ヲ写ス>等と記している。
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画者は清朝の初期に活躍した「李鱓」という画家。宮廷画家や官吏等を経たが、その後売画生活をする。画才高く、自由奔放で軽妙な筆致の画は人気を博し、”揚州八怪の一人 注1”として中国近代画壇に多大な影響を与えた画家である。晩年は沈石田(しん せきでん)の画風を敬慕したという。
- ★「平成14年6月」・「平成16年4月」や「平成18年12月【1】」など、当HPでも度々ご紹介していますが、森琴石は、晩年沈石田の画風を最も愛していた。
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注2に「李復堂」の伝記、注3では「李復堂画花卉帖 十頁」より、5図抜粋ご紹介します。 |
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注1 |
揚州八怪(ようしゅうはっかい)
- ★清朝乾隆期頃に現れた揚州を代表する一群の文人画家をいう。
汪士慎・李・金農・黄慎・高翔・鄭燮・李方膺・羅聘のほかに辺寿民・陳撰・華嵓・高鳳翰・閔貞らを加える説もあり、八怪とはいえ必ずしも八人というわけではない。
この一派はとりわけ花鳥画に優れ、四君子と言われる梅・蘭・竹・菊を好んで画いた。その画風は自由奔放で極めて個性的であったため、沈滞した中国画壇を忽ち席捲し新風を巻き起こした。後の海上派と呼ばれる趙之謙・任伯年・呉昌碩や斉白石らに強い影響を与えた。
-フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』-による
- ★その他 「琴詩書画巣 -中国絵画史ノート 清時代4 揚州八怪、山水画から花卉画へ」もご覧下さい。
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注2 |
李復堂 略伝
- (Ⅰ)
- 李鱓、字は宗楊といひ、復堂はその號である。晩年に懊道人と称した。江蘇興化の人。
清朝の初期、康煕五十年辛卯(西紀1711)孝廉に擧げられ、越えて二年皇帝の南巡に際して詩を行在所に獻じて叡賞を蒙り、召されて京師に至り、蒋廷錫と交互に内廷に供奉した。
こゝに居ること數年にて、選ばれて山東の滕縣に知事となったのであるが、要路と意見が合わず、罷めて歸り、浮漚館を城南に築いて詩書を繙いて日を送った。
書は初め明の林良を宗として花卉・翎毛を書いたが、京に到って蒋廷錫の門に入り、技大いに進み、晩年頗る沈石田の画風を敬慕した。
- ―『李復堂花鳥冊』(広瀬保吉著者蒹発行/昭和43年8月20日 発行)― より
- (Ⅱ)
- 清代中期の画家。康熙25年江蘇省興化生。字は宗揚、号は復堂・懊道人・別號懊道人・木頭老子・滕薛大夫・衣白山人・墨磨人 など。揚州八怪の一人。康熙50年の挙人で山東省膝県の知事を務める。宮廷画家の蒋廷錫に師事し、高其佩にも学んだが、明の林良に私淑したといわれる。奔放な筆致の水墨・淡彩による花卉草木を得意とした。歿年未詳。
―中国収蔵網 李鱓「椿萱百齡圖」― などによる
- (Ⅲ)
- WEBサイト 「墨と硯と紙と筆 美しい墨色とは? ~李蝉「墨荷図」(上海博物館蔵)にも詳細記述があります。
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注3 |
「李復堂畵花卉帖 十頁 讀畵楼」より
「李復堂画 花卉帖 十頁 読画楼」・・・・・全10図・サイズ縦28cmx横20,5cm
表紙 |
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黒牡丹 |
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劉家の黒牡丹
黒牡丹は劉訓という人に因んでこの名の謂れとなった。 中国は唐時代劉訓という枠人が黒牡丹(紫黒色の牡丹)の鑑賞に客人を招いた。 たまたま門に黒牛を数百頭つないでおいたところ人々はそれを指して これが劉氏の黒牡丹だと感嘆した。 黒牛の見事さが花をも忘れさせたという故事により牛の異名ともなった。 |
号<復堂>
百日紅(さるすべり) |
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あじさい |
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号<墨磨人>
枇杷 |
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蘭 |
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