森琴石(もりきんせき)1843〜1921

森琴石 調査情報

平成10年10月〜現在まで、森家での調査などをご紹介します

■調査情報 平成21年(2月)

 

今月の話題

【1】「新鐫 大日本海陸全図 附朝鮮琉球全図 全」について
1:<出版伺い書>の存在
2:<控え帖>メモ
3:その他響泉堂刻<朝鮮の地図>

【1】

明治10年3月に出版された、森琴石著編「新鐫 大日本海陸全図 附朝鮮琉球」は、明治維新後の日本各地の地名や鉄道路線や航路などが詳細が記述されている。とりわけ朝鮮や琉球、千島列島の地図が付いていることや、維新後の廃藩置県で、府県制度に整理された頃を知る資料として価値があるようだ。「所蔵&リンク:地図」でご紹介していますが、海外での幾つかの図書館のコレクションなどに所蔵がみられる。このたび、ハワイ大学ハノア校ハミルトン図書館「ホ―レーコレクション」での所蔵が判明した。ホ―レー文庫(宝玲文庫)は、散逸を免れた数少ない琉球・沖縄関連資料の中でも、貴重な文献を有するコレクションであるという。

「新鐫 大日本海陸全図 附朝鮮琉球」の地図が、島根県沖遠方にある小さな島”獨島”の名称や、その位置をめぐり、複数のサイトが、森琴石の地図を、検証資料として取り上げている。韓国では同地図は「独島博物館」に所蔵されている 注1

平成20年6月【1】注5」でご紹介しましたが、森琴石の「控え帖」には、「大日本海陸全図」の地図出版についての簡単なメモ書きがある 注2

「新鐫 大日本海陸全図 附朝鮮琉球」は、当初明治10年1月に出版の予定だったが、里程などに誤まりがあり、航海に使用出来ないとして”改めて作成し直し出版したい”と、大阪府知事に依願した。当時の知事「渡邊昇」が、海軍大輔「川村純義」に提出した書類が、「防衛省防衛研究所」の<海軍省公文備考類>の中に収められている 注3

「渡邊昇(渡辺昇) 注4」は、<東民>の号で詩書をよく嗜んだ。大阪府知事在任の折には、森琴石と同門の「川上泊堂」に書を学んでいた。
石橋雲来著「雲来吟交詩 3集」には、<大阪―渡邊東民>として、詩が寄せられている。
「渡邊昇」は又、日本における障害者の福祉と教育の草分けとなった「石井筆子 注5」の叔父でもあり、石井家は「森 梅子 注6」の実家と縁戚関係に当たる。

森琴石が著した「明治新刻大日本帝國新図附朝鮮八道全図 全 」や、響泉堂刻の地図「朝鮮国全図 」では、朝鮮の地図が詳細に描かれていると思われる。森家ではそれら地図の現物確認が出来ていないが、「朝鮮国全図」は、竹島問題を研究する島根県が、WEB画像を公開している 注7。森琴石が掛図として教材に著した、明治10年刊「新刻大日本国図 附朝鮮 注8」では、ごく簡単にしか描かれていない。

森琴石が何故銅版で、このような「大日本海陸全図」のような地図を作ろうとしたのか?また「平成19年3月【1】」や「平成19年7月【2】」及び「平成19年12月【2】 1:『寰瀛記(かんえいき) 小説 柳 楢悦』 」で触れたように、森琴石が、青春時代の幕末期に出会った人物からの影響、あるいは身内の家業などが関係したのかも知れない。

 
 
注1
 

以前はかなりの数のサイトで議論されていたが、その後詳細な検証が進められたのか、現在は落ち着きが見られ、http://www.dokdo-takeshima.com/dokdo-japan-national.html や、 http://www.dokdo-takeshima.com/dokdo-kinseki.html などで公開されている。

★独島博物館=http://j2k.naver.com/j2k.php/japan/www.ullungdo.com/dokdo/cmusem.htm

 
注2
 

「新鐫 大日本海陸全図 附朝鮮琉球」出版メモ

〜森琴石<控え帖>より〜
森琴石<控え帖>より
森琴石著編 新鐫 大日本海陸全図 附朝鮮琉球 壱枚 縦二尺三寸 横四尺八寸 大阪 大阪府平民 岡田茂兵衛 同 小川新助 三月廾三日

★「平成20年6月【1】注5」に、同資料があります。

 
注3
 

大日本海陸全図 出版伺

(以下は、国立国会図書館 デジタルアーカイブポータル検索から転記したものです)

〜国立公文書館・アジア歴史資料センター〜

タイトル
大坂府該府火平民小川新助海陸全図出板の義に付伺  →(府火は原文通り)
作成者
大阪府権知事 渡邊昇/大阪府平民 編集人 森琴石/出版人小川新助
日付
明治10年2月6日
内容記述
第二千六百七十九号 当府下平民小川新助ニ於テ大日本海陸全図出版致度出願候ニ付願書二通進達候条可然御差図有之度候也 九年十一月二十二日 大阪府権知事 渡邊昇 海軍大輔 川村純義殿 願之趣別紙図面中里程等ニ誤謬雖有之航海ノ用ニ充ツベキ図類ニアラサルヲ以当省ニ於テ関係無之候条其旨本人江可被相達候事 明治九年二月六日 出版御伺 一新@大日本海陸全図銅版一枚摺縦二尺三寸横四尺八寸附朝鮮琉球 明治十年一月出版 右ハ 森琴石編輯大日本国府県郡各村名城址神社仏閣灯台鉄道航路陸路里程等詳記致候別紙図面通地図出版仕度版権御許可之義内務省江奉願候処於其御省御差閊有無相伺候上更ニ可願出旨明治九年十一月六日御指令有之候ニ付
 
注4
 
渡邊昇(渡辺昇)
肥前大村藩士渡辺武俊の次男。安政元年藩命により江戸に遊学安井息軒に儒学を。剣を斎藤弥九郎に学ぶ。剣の同門には長州藩木戸孝允がいた。薩長と同盟を働きかけるなど、幕末の尊王攘夷運動に尽力、功績を立てた。維新後33歳の時、明治4年大阪府の第4代知事に就任、草創期の大阪府政をよく治め、同13年までの9年間、大大阪の礎を固めた。教育機関の再編成、警察・消防機構の整備、鉄道建設、府庁庁舎の新築移転、大阪博物場の開場、コレラ流行対策と病院設置、府会議員の選挙等々手腕が発揮される。清廉潔白な性格で、古典の教養も深く<東民>の号で詩画を描き俳句も嗜む。大正2年1月、75歳で歿する。
・・・・・・「大阪人物辞典」(三善貞二著/清文堂/平成12年)より・・・・・・・
 
注5
 

当HP、展示掲載”映画:石井筆子”をご覧ください。

渡辺昇及び石井筆子については<大村観光なび(大村市観光振興課)>からもご参照ください。

 
注6
 

「森 梅子」=「平成20年8月【1】注2★2つ目」をご覧ください。

 
注7
 
★「明治新刻大日本帝國新図附 朝鮮八道全図 全
佐藤 半三郎(編・出版)/吉岡 平助(発兌)/響泉堂刻/明治15年
所蔵館=岐阜県図書館・世界分布図センター古地図目録:日本全図  NO 18-6-6
★「朝鮮国図」
澤井満輝著/森本太助出版/響泉堂/明8・12・8/銅版刷彩地図 69.9x47.5cm
所蔵館=神戸市立博物館・島根県国立公文書館※
澤井満輝=守住貫魚の弟子。森琴石とは親しかったようだが詳細は不明。
☆島根県国立文書館所蔵の「朝鮮国図」
WEB竹島問題研究所
竹島問題に関する調査研究 最終報告書(平成19年3月)

絵図・地図資料(1)国立公文書館所蔵
3.「朝鮮国全図」(澤井満輝):明治8年(1875)【178-482】
表紙 (PDF 159KB)
全体図 (PDF 324KB)
部分拡大図 (PDF 389KB)
 
注8
 

「新刻 大日本国図  附朝鮮」=「平成16年 3月」・「平成19年1月【2】」 などに記述があります。

 


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