森琴石(もりきんせき)1843~1921

森琴石 調査情報

平成10年10月~現在まで、森家での調査などをご紹介します

■調査情報 平成23年(1月)

  今月の話題

【1】 「森琴石作品集」より
 [銅版画編] 第8頁、第9頁  …商標印紙類… ご紹介

【1】

昨年暮れ『森琴石作品集』が刊行されました。各方面より、「表紙装丁、作品内容に気品を感じる」、「作品、論文共に大変充実している。今後、近代美術史研究には欠かせない学術的意義のあるものだ!!」等の、ご感想を寄せて頂いています。



学術、芸術論は専門家にお任せするとして、当ホームページでは、銅版画編にある小さなラベル類に注目したいと思います。



銅版画編には「商標・印紙・証券など」、「書籍デザイン」、「教科書」、「大阪府管内地誌略」、「和漢対照挿画 明治新用文大成」、「大阪名所独案内」、「九十七時二十分間月世界旅行」、「畊織図」、「墨客必携 画題自在」、「墨場必携 題画詩集」、「南画独学揮毫自在」、「刷り物類」、「有馬温冷両泉分析表」、「有馬温泉炭酸水改良建築市外写真絵図」、「月瀬勝景真図」、「地図」などの項目に分類され、それら銅版画の数は、281点に及ぶ。



当ホームページでは、これまでに上記の項目中から幾つかご紹介してきましたが、今回は、これまでどこにも紹介されていなかったと思われる、響泉堂刻”商標類(17点)”をご紹介します。これらは「森琴石作品集」内、第8、9頁分のもので、熊田 司氏所蔵の「響泉堂等銅版画資料貼交帖」に収録されたものである。



「森琴石作品集」第8,9頁に収録されたラベル17点は全て試し摺りのもので、引き札1点、印紙5点、商標(ラベル 10点)、効能書1点に分類される。その中には、森琴石の実父「梶木源次郎」から依頼されたと思われる「有馬 花山椒」のラベルが含まれる。



とりわけ目に付くのは、歯磨粉やうがい液、歯ブラシ等 ”歯磨き関係” のラベルが多い事だ。それらラベルの制作は、明治10年頃と推定されている。この時期の歯磨き剤は<明治10年東京に波多海蔵により花王散が発売され、大阪に香雲散、自由散が出た>と、東京都武蔵野歯科医師会のホームページで紹介されておいる。



●響泉堂刻の歯磨き関係のラベル類は、いずれも明治10年頃のもの。ラベルには製造販売元の名、<大阪 宝善堂><大阪 歯磨薬 小西松太郎><大阪 小林><大阪 磨歯散 増田氏>という文字が刻まれている。小西松太郎製の歯磨剤のラベルには<大阪響泉堂銅刻>の文字が刻まれている。これらラベルからは、これまでに伝えられていた以上に、明治10年頃の大阪では、歯磨き剤に着手していた業者が多かった事が分かる。
●唯一ある”歯ブラシ”のラベルは<小林製品>のもので、文字は英語で書かれており、印紙の中央には西洋人の顔が描かれている。維新後の舶来趣味で英文字にしたのか?、或いは当時阪神間等に住む外国人の為に英文字ににしたのか?は、知識が無いので判断がつかない。
●大阪平野町一丁目の薬舗「宝善堂」の「延齢散・延齢水・如神丹」の引き札は、明治10年頃作成の、松川半山画の”木版画 ”は、「藥の博物館 -人と藥のあゆみ 錦絵広告-」にもあるように、既に良く知られている。響泉堂銅刻での”宝善堂 引き札、ラベル、効能書”の存在は本邦初の可能性がある。<延齢水>のラベルには”米医直伝 歯牙予防 食前食後うがい藥”の文字があり、この頃すでに、口腔を洗浄する<殺菌洗口液>を製造販売していた事が分かる。<延齢散>の効能書には”米医直伝の名方を精製したもの”と書かれている。
松川半山画引札の解説=虫歯や歯痛など口中病一切に関する三薬についてその効能が絵の中の屏風で述べられ、その前では薬を服用している=延齢散は歯痛を治し、歯ぐきの腫れ、口臭を去り、延齢水は口中病一切の予防薬で、うがい薬としても用いられる。如神丹は齲歯の痛みを即座に治すくすりで、岸田吟香の宝善堂で販売しているという内容。
注:「響泉堂等銅版画作品貼交帖」では、響泉堂刻の楽善堂ラベルは、如神丹が欠けているが、宝善堂と、楽善堂「岸田吟香」との関係を知る事が出来る。


上記以外の響泉堂刻ラベルには<柏原機場(織物業・兵庫県の柏原か?)>、<帆船業>、<誠開堂虎谷製 息安散>、<荒堀製 シャツ>、<靴下(KUTSUSHITA と書かれている)>の他、印紙には<正好堂山崎製薬>と<湖東猪飼>の2種類があり、「TOUKIYO MISE SHIYATSUPON  SEIZO」と、ローマ字でかかれた帽子?製造業のラベルは東京店のもののようだ。




「森琴石作品集」第8,9頁の作品類は、いずれも、精緻でしゃれたデザインの銅版画作品は、維新後の産業を知る資料的価値もあるようだ。下方に『森琴石作品集 銅板画編』第8、9頁を画像でご紹介します。



『森琴石作品集 銅版画編』の、他のページにも多数の商標・印紙類が収録されている。作品№18「大日本帝国加賀金沢製糸社商標試摺」は、木版画の引札は、金沢の刀工「近広堂(広岡屋)与作」の「加州金沢製糸場之図」が、石川県立図書館貴重資料ギャラリーで紹介されている。「金沢製糸工場」は、第二代金沢市長「長谷川準也」や旧士族「大塚志郎」らが作り、当時としては、官営の富.岡製糸場に次ぐ全国でも第2の規模を誇ったという。これら商標・印紙類は、依頼した事業主と森琴石との関係を知る資料として、森琴石の地方での足跡の手がかりにもなりそうだ。



森琴石の実父「梶木源次郎」から依頼された”有馬温泉”関係のものは、実父「梶木源次郎」が炭酸水を発見した事、有馬の産業や観光に寄与した事実を知る事が出来る。明治12年版「有馬温冷両泉分析表附雑記」には有馬温泉の名産品の中に<瓶詰め 炭酸水>が描かれており、日本で始めて瓶詰めの<炭酸ソーダ水>を販売したのは、森琴石実父「梶木源次郎」だった可能性が高い 


有馬温泉の<吉高屋>店主公開の「有馬温泉うんちく情報」に、森琴石の銅版画を使用して詳細に検証したものがあります。

『プレてっぽう水』発見! 日本初のビン詰めミネラルウォーターは有馬の炭酸水だった!!をご覧下さい。
http://arimaonsenuntiku.blog38.fc2.com/blog-entry-27.html


ラベルの中に書かれた小さい文字からもさまざまな情報を得る事が出来る。『森琴石作品集 銅版画編』は、ルーペなどで詳細にご覧頂ければ、新たな発見、楽しみ方が出来るかも知れません。

【2】
 

『森琴石作品集』より



 [銅板画編]  -商標印紙類- 第8頁分



★掲載ご協力者=熊田司氏(大阪市立近代に術館建設準備室)

★お断り・・・・現在森家のパソコンの不具合で、現在ホームページ作成に支障を来たしています。精度の高い画像を使用する事が出来ませんのでご了承ください。


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作品名 制作年 寸法(縦x横)cm
1: 宝善堂引札試摺 明治10年頃 21,9x30,7
2: 歯磨薬商標試摺 4.9x6.8
3: 大坂小林製品印紙試摺 3,5x3,7
4: 歯磨・歯ブラシ商標試摺 3,7x6,3
5: 延齢水商標試摺 6,6x4,8
6: 延齢散効能書試摺 9,5x13,3



 

[銅板画編]  -商標印紙類- 第9頁分



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作品名 制作年 寸法(縦x横)cm
7: 試磨散商標試摺 明治10年頃 5,2x7,0
8: 息安散商標試摺 3,1x2,5
9: 有馬名産花山椒商標試摺 5,1x4,2
10: 柏原機場商標試摺 10,2x13,0
11: 正好堂山崎製品試摺 3,8x3,2
12: 帆船模様商品印紙試摺 5,3x4,3
13: 荒堀製商標試摺 4,9x10,6
14: 湖東猪飼印紙試摺 6,4x5,9
15: HENOO製品印紙試摺 5,6x5,0
16: 靴下商標試摺 5,4x10,6
17: HATANO製品印紙試摺 7,5x4,8


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